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2025.04.01

履物の文化と日本のものづくりを継なぐ「大和屋履物店」

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履物の文化と日本のものづくりを継なぐ「大和屋履物店」

ホテルリソルステイ秋葉原から徒歩15分ほど。ずらっと古本が並ぶ神保町の大通りを横目に進んでいくと、「大和屋」と大きく書かれた木の看板が見えてきます。

「大和屋履物店(やまとやはきものてん)」は100年以上の歴史を持つ下駄屋さん。創業から同じ場所で質の高い下駄を丁寧に届けてきた知る人ぞ知る老舗です。

創業140年、同じ場所でまっすぐに

店内の様子

店内の様子

「大和屋履物店(以下、大和屋)」は1884(明治17)年創業。創業のきっかけは東京で下駄屋の修行をしていた初代店主が独立し、親族の縁を辿って神保町にお店を構えたこと、と言われています。それから140年、町の下駄屋さんとして同じ場所で神保町の変遷を見守ってきました。

「大和屋」にとって大きな転換点となったのは4年前に行ったお店の改装でした。お店では、改装前から店主を中心に「『大和屋』をどのように未来へ残していくのか」を長年議論してきたそう。その想いが改装プロジェクトになった背景には船曵竜平(ふなびき りゅうへい)さんの存在が大きく影響しています。

船曵さんは大手企業のサラリーマンとしてキャリアを積みながら、パートナーとの結婚を機に「大和屋」に関わり始めます。船曵さんは「大和屋」の人たちが想いを形にする方法を模索している姿を見て、自分が今まで培ってきた経験を活かせるかもしれないと改装プロジェクトを手伝うことを決意。船曵さんという新しい力が加わることで、「大和屋」の改装プロジェクトは大きく動き始めたのです。

「町の下駄屋さん」から「日本の文化を継なぐお店」への転換

大和屋店内のギャラリースペース

大和屋店内のギャラリースペース

時代が移り変わるなかで、「大和屋」をどのような場所として続けていきたいのか。改装プロジェクトでは、この問いが大きなテーマとなっていました。船曵さんは先代や当代、「大和屋」に関わっている人にじっくり話を聞きながら、問いに対する答えを少しずつ言葉にしていきました。

「今の店主である三代目からは『きちんと下駄屋として大和屋を残したい』と話し、跡継ぎ息子である四代目は『町の風景としての大和屋を残し、神保町を知るきっかけになって欲しい』と語ってくれました。型染作家の家族からは『日本のいいものを残すことに貢献できるお店になったら嬉しい』とメッセージをもらって、それぞれの話が重なるところを探しました。その先に見つけたのが『文化を継なぐ店』というコンセプトでした。」

町の人に下駄を届ける「町の下駄屋さん」から、日本の文化を届ける「文化を継なぐ店」へ。コンセプトが決まったことで「大和屋」に関わる人たちが見つめる先は定まり、お店に変化を生み出していきました。

たとえば、店内の半分をギャラリースペースとして解放し、日本の作家や文化を紹介できる空間を設置。履物以外でも日本の文化に出会える場所を設けました。また、販売する下駄や鼻緒は、「大和屋」が信頼する職人さんと直接取引しながら、オリジナル商品を一緒に制作。

鼻緒と下駄の台をお店で挿(す)げる(下駄の台に空いた穴に、鼻緒を差し込んで取り付ける)ことができる履物専門店の強みを活かし、お客さんが下駄の台と鼻緒を自由にカスタマイズし、オリジナルの下駄が作れる体験を用意しました。

単に履物を届ける場所ではなく、履物やお店を媒体にして日本の文化を受け継ぎ、多くの人へ繋げていきたい。そんな想いを胸に、「大和屋」は2021年5月に再出発しました。

リニューアルで深まった繋がり、広がった繋がり

「大和屋履物店」で販売されている下駄の台。 それぞれ木目や質感が異なるので、自分の好みに合わせて選ぶことができる

「大和屋履物店」で販売されている下駄の台。 それぞれ木目や質感が異なるので、自分の好みに合わせて選ぶことができる

改装プロジェクトを進めるなかで、船曵さんはプレッシャーも感じていたと言います。

「『大和屋』は140年同じ場所で続けてきた歴史があります。地元のお祭りがあると、地元の人が『大和屋』にやってきて、お店で酒盛りを始めるくらい町に根付いている場所でもある。だから、町の人や常連さんが『大和屋』の変化を望んでいるかはわからなかったし、どういう反応をされるのか不安でした。

でもリニューアルオープンの日、1日中お客さんが絶えなかったんです。初めましての方も昔から支えてくれているお客様もたくさん来てくれた光景を見て、『自分たちの準備は間違っていなかったんだ』と自覚でき、本当に嬉しかったです。」

リニューアルオープンの日が起点となり、「大和屋」ではギャラリースペースの展示やイベントを通して、新たなお客さんとの縁が広がっていきます。最近では海外から「大和屋」をめがけて来店されるお客様もいるほど。

さらに常連さんからは「ギャラリーでいろんな作家さんに出会えるから、『大和屋』さんにくる理由が増えて嬉しい。」との声もあり、常連さんが「大和屋」に来てくれる回数も増えたそうです。

「下駄屋の弱点は業界が小さいことかもしれないけど、強みはお客さんとの繋がりが深いこと。だから口コミはすぐ広がり、お客様がお客様を呼んでくれた数年間だったと思います。」と船曵さん。「大和屋」の転換は新たな人との出会いを生み、今まで支えてくれた人との繋がりを深める出来事でもありました。

日本の文化を継ぎ合わせる入り口のような場所に

「大和屋履物店」のみなさん。左から2番目に写っているのが船曵竜平さん

「大和屋履物店」のみなさん。左から2番目に写っているのが船曵竜平さん

「大和屋」は2025年5月に改装から4年を迎えます。「大和屋」が今後どういう場所になってほしいか伺うと、船曵さんは「下駄や日本文化を知る入り口のような存在になりたい。」と話します。

「正直、下駄屋は敷居が高そうで入りづらいと思うんです。だから『大和屋』は敷居が低くて、すぐ入れるお店でありたいですね。今後は『大和屋』が日本文化や下駄のディープな魅力へ繋げていける場所にしていきたいです。」

「下駄」や「日本文化」という言葉を聞くと、自分の生活から遠いもののように感じ、身構えてしまう方もいるかもしれません。しかし、「大和屋」の暖簾をくぐると、下駄は日本の環境に根付いて作られた気軽な履物であり、私たちの暮らしに近いものであることに気づかされます。

「大和屋」は、今日も神保町の街角で日本の暮らしに根付いた文化と私たちを「継なぐ」きっかけを提供しています。


大和屋履物店
住所:東京都千代田区神田神保町3-2-1 サンライトビル1階
HP:https://geta-yamatoya.com/about/
SNS:https://www.instagram.com/geta_yamatoya/
営業時間や定休日についての詳細は上記のリンク先にてご確認ください。