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2025.02.15

陶器のまち多治見に新たな流れが生まれる場「新町ビル」

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陶器のまち多治見に新たな流れが生まれる場「新町ビル」

岐阜県多治見市は、美濃焼の産地として1300年以上の歴史を持つ町。全国でも有数の陶磁器生産地でありながら、近年ではその魅力を伝える拠点や発信の場が限られていました。そんな中で、築50年の空きビルをリノベーションして生まれ変わった「新町ビル」は、多治見のまちの“入り口”として、陶器のまち多治見に新しい文化と人の流れを育んでいます。

このビルを支えるのは、2階「山の花」を営む花山和也(はなやま・かずや)さんと、4階「地想」を営む水野雅文(みずの・まさふみ)さんです。

1階は「多治見の街のエントランス」としてイベントや展示を行うスペース。2階は多治見を中心とした東濃地域のやきものを常設販売する「山の花」。3階は展示室として活用され、4階には全国各地から集められたアイテムを扱うセレクトショップ「地想」が展開されています。

焼き物やアンティーク、そして人と人との出会いが交わる独自の空間となっている「新町ビル」。その始まりは、偶然のようでいて必然だった出会いから生まれました。

「伝える面白さ」から生まれた出発点

2階「山の花」の店内

2階「山の花」の店内

もともと名古屋で家業を手伝っていた花山さんが多治見に関わるようになったのは、陶芸作家のアシスタントを務めたことがきっかけでした。作家と共に作品をつくり、売る現場に立ち会う中で、ものづくりの背景を知り、それを伝えることの面白さに引き込まれていきます。

そんな中、名古屋のセレクトショップの店長だった水野さんと共に、店舗のスペースを使って展示や企画を行ったことをきっかけとして、「伝える場所」の可能性を実感。作家や地域の魅力をもっと広く届けたいという思いが、徐々に花山さんのなかで輪郭を帯びていきました。

多治見市陶磁器意匠研究所 卒業制作展2025が開催されておりいつもとは違う雰囲気の「新町ビル」

多治見市陶磁器意匠研究所 卒業制作展2025が開催されておりいつもとは違う雰囲気の「新町ビル」

その想いをかたちにするため、花山さんは2018年、多治見市が主催する「たじみビジネスプランコンテスト」に参加。作り手と使い手がつながり、交流が生まれるような拠点を作る構想をプレゼンし、見事グランプリを受賞しました。これを契機に、築50年の空きビルをリノベーションして新たに生まれたのが、現在の「新町ビル」です。

地元と外からの視点が混ざり合う場

4階「地層」には全国各地から選りすぐりの個性的なアイテムが並ぶ

4階「地層」には全国各地から選りすぐりの個性的なアイテムが並ぶ

新町ビルの面白さは、2人のバックグラウンドと視点の違いが混ざり合うことで生まれています。花山さんは“地元ではない人”として多治見の作家や器の魅力を紹介し、水野さんは“地元の人”として他地域のアーティストを持ち込む。その交差点で起こる出会いが、新たな刺激となって流れをつくり出しているのです。

「建物の魅力、ロケーション、そして花山くんという存在。その全てが揃って、未来の風景が想像できた」と水野さんは語ります。2階と4階、全く異なる世界観のショップが同じビルにあることで、訪れる人々の層も幅広くなり、異なる価値観が自然に出会う場になっています。

孤独な“作る時間”に寄り添う交流の場

1階エントランスは心地よい陽の光が入り、人々の交流を促す場となっている

1階エントランスは心地よい陽の光が入り、人々の交流を促す場となっている

「多治見には、何千人という作家が活動しているにもかかわらず、意識的に自分から行動しないと横のつながりを持つのは難しい。」花山さんは、作家とお客さんとの関わりだけではなく、作家同士が偶然出会ったり、気軽に立ち寄ったりできる場所の魅力を語ります。

「ここに来ると、作家さんの作品に触れられるし、作家さん同士も自然と顔を合わせるようになるんです。」と、花山さんは語ります。ビル内での何気ない会話や展示が、新しいアイディアや協働につながることもあるといいます。

多治見市陶磁器意匠研究所 卒業制作展2025にて展示されていた作品

多治見市陶磁器意匠研究所 卒業制作展2025にて展示されていた作品

「ものをつくるって、基本的にはすごく孤独な時間。でも、誰かの作品に出会うことで、自分の制作意欲がふっと湧いたりする。そういう小さな火種みたいな瞬間を、大事にしたいんです。」たくさんの作家さんや作品を見続けていきたいと語る花山さんの言葉には、ものづくりをする人たちへの深い敬意と愛情が滲んでいます。 この場所が、今日も誰かにとっての“入口”であり続けるために。文化の火は、今日も静かに、そして力強く燃えています。

4階「地想」を営む水野雅文(左)さんと、2階「山の花」を営む花山和也さん(右)

4階「地想」を営む水野雅文(左)さんと、2階「山の花」を営む花山和也さん(右)


新町ビル 

住所:〒507-0831 岐阜県多治見市新町1丁目2-8 

アクセス:JR中央本線・太多線多治見駅南口より徒歩15分 

HP: https://www.shinmachi-bldg.com/ 

*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。